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魚を鷲づかみにするミサゴ。
魚を鷲づかみにするミサゴ。
ミサゴは水辺に暮らすワシタカの仲間である。トビと同じぐらいの大きさだが、翼を広げると160センチあるため、かなり大きい印象を受ける。背部は暗褐色で腹面から頭部が白く、眼を横切る黒いラインが精悍な印象を与える猛禽類だ。彼らも他のワシタカ類同様の狩りを行う。ターゲットは水中の魚だ。上空を旋回しながら獲物を探し、ターゲットを捕捉すると急降下してみるみる接近する。そして脚から水中につっこみ、鋭い爪で魚をがっしりと捕まえる。文字通り鷲づかみにするのだ。その勇猛な狩りの光景は、猛禽類特有のもの。鷲づかみという表現は、まさにそのものズバリである。

「鷲づかみにする」という表現がある。鷲がものをつかむように乱暴にものをつかむこと、荒々しくつかみあげることをいうものである。心を鷲づかみにするといったように、そこには生き物である鷲の存在はない。そもそもこの表現を使うときに鳥の仲間であるワシをイメージすることなど、おそらくきわめて希薄であろう。すでに言葉は独り歩きしているのだ。

実際にワシのイメージはというと、たくましくて大きな体、精悍なまなざし、鋭く曲がったくちばしと頑丈な爪を備えたがっしりとした脚、といったところだろうか。猛禽類とも呼ばれる肉食性の鳥たちで、自ら狩りもするし行き倒れた動物たちの死肉もあさる。彼らの狩りは圧巻で、上空からはるかかなたまで見渡せる眼でターゲットを捕捉し、急降下とともに鋭い爪でしっかりとつかみこむ。これが鷲づかみなのである。

ワシに代表される猛禽類の仲間のひとつにミサゴがいる。極地を除いた全世界に分布しており、日本では北海道から沖縄まで生息している。主に海岸地帯や湖沼、河川沿いなど、水辺に近いところで暮らしているワシタカの仲間だ。水辺の周辺に暮らすのには理由がある。もっぱら魚を狩って、暮らしているからだ。

ワシという名前ではないが、ミサゴも「鷲づかみ」の狩りをする。まずは上空高く舞い上がり旋回してターゲットとなる獲物を探す。そして魚をみつけるとホバリングして狙いを定め急降下して捕捉の瞬間には脚から水に突っ込み獲物をがっちりと掴み取って、再び空へと舞い上がる。鷲づかみの狩り方である。後は他の鳥などに邪魔されることのない場所へと獲物を運んでから、おもむろに食べるようである。

ミサゴは断崖や絶壁の樹上、大きな木の枝などに巣を作って繁殖する。卵を温めるのはもっぱらメス親で、オスは巣を離れられないメスに餌を運ぶ。そうした番の仲がいいことでも知られているのがこのミサゴだ。

環境庁のレッドデータブックでは絶滅危ぐ種に指定されている。数の減少は、営巣地周辺の開発による環境の悪化などによるものとされている。また日本だけではなく、世界的にもその数の減少が懸念されているワシタカ類でもあるのだ。鷲づかみによる見事なミサゴのハンティング。そのシーンを末永く残していきたいものである。

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