人間とネコとのかかわり合いが、どうやらさらに長いものである証拠が発見されたようだ。これまでは古代エジプト時代にその根拠が見出されていたが、今回の発見により、さらに5000年以上もさかのぼるものになるという。時代は新石器時代のキプロス島の遺跡で、埋葬された人の骨の傍らでネコの全身骨格がみつかったというものである。もともとこの島には、野生のネコ科の動物はいないという。つまりそれは人によりもち込まれた可能性があるというわけだ。人と猫とのかかわり合いは、この発見により9500年前までさかのぼるという。
以前この豆知識でベンガルヤマネコを紹介した際、ペットとして親しまれているイエネコのルーツがヤマネコであるということにふれた。古代エジプト時代、人々はリビアヤマネコと生活空間を共有し、それがやがて家畜化されていったものと考えられてきたのである。実際に古代エジプト時代の遺跡の壁画などには、そうしたネコの姿が残されているという。またペットとして飼育されていたネコはミイラにもされ、ファラオたちと一緒に埋葬された。そしてこのたびフランスの発掘チームにより、さらに古い時代の遺跡からネコの骨格が発見されたことが発表された。場所は地中海に浮かぶキプロス島。これによりこれまで考えられてきた、人の暮らしの中にネコが入り込んだと考えられている時期を、およそ5000年以上さかのぼるというものである。つまり9500年前から、人はネコとともに暮らしていたのではないかという報告だ。もっとも、明治時代や室町時代といった歴史上の過去ではなく、どちらにせよ有史以前の話であるから、それが5000年古かろうがどうだろうが、あまりピンとこないかも知れない。とはいえ、今日私たちの傍らにいるネコの祖先は、そうしたピンとこないような昔から、われわれの暮らしにかかわってきたということになるわけである。キプロス島の遺跡は高貴な人物のもののようで、石器やたむけものなどとともに、そのネコの全身の骨格がみつかったようだ。埋葬された主の亡き骸から、数十センチメートルの距離だったという。ネコは幼ネコらしく、その死亡までのいきさつは今日では知る由もないが、乱暴に扱われたような痕なかったようである。今日われわれは、そうしたネコの末裔と暮らしているわけだ。以前国の天然記念物である飼育下のツシマヤマネコが、一般に公開されたことについてもこのページではふれた。その福岡市の動物園では、ヤマネコたちに子猫が誕生しているようである。なんでもその母親、さらに祖母に当たるネコも同園で生まれたらしく、この子供たちは飼育下で4世代目に当たれるようだ。絶滅が危惧されているツシマヤマネコだが、こうした飼育下での繁殖によってその数が維持できれば、こんな喜ばしいことではない。生息地の環境の保全とあわせて、個体数の確保が順調に進めば、彼らの未来も明るいものになってくるだろう。今回は最新の情報を含めて、ネコにまつわる話題をお届けしてみた。 |