いつでもどこでも一緒に寄り添っている仲のよい夫婦のことを、「おしどり夫婦」と呼びますが、実際のオシドリはどうなのでしょうか。
オシドリは東アジアを中心に生息している、カモの仲間です。日本でも夏は北日本で、冬は西日本でお目にかけることができます。繁殖期のオスは鮮やかな体色と銀杏羽とよばれる独特の羽を持ち、非常に特徴的な姿をしています。メスは全体的にグレーを帯びた褐色で、オスに比べると地味な印象を受けます。カモの仲間には珍しく、どんぐりが好物で、山と里の両方で生活しているようです。
オシドリは漢字では鴛鴦と書き、鴛がオスを、鴦がメスを表しているそうです。そう聞くとオシドリはやはり「おしどり夫婦」の語源にふさわしくいつも一緒に寄り添っている印象を受けてしまいますが、実際にオシドリが一緒にいるのは、繁殖期の限られた期間だけです。交尾を終えたメスは、水辺の樹の洞などに卵を産み落とし、ヒナが孵るまで卵を温めますが、オスはこうした子育てには一切参加せず、メスから離れてしまいます。また、パートナーが毎年かわることも多いようで、「一生添い遂げる」ということもありません。オシドリは決して「おしどり夫婦」ではないようです。いや、もしかしたら「おしどり夫婦」の現実はそんなものかも?? |