赤、青、黄色。極彩色の色彩に身を包んだカエルが、中南米の熱帯雨林の中でたくましく暮らしている。その魅力的な体色のためか、ペットとしても定着しており、コレクションする愛好家も多い種類といえる。
かつて中南米のインディオたちによって、狩りのための吹き矢の毒として使われていたといわれるヤドクガエル。カエルの皮膚から分泌される毒を、吹き矢の矢に塗りつけて使っていたようだ。しかし獲物を麻痺させるまでの毒をもつといわれる種類は、数多くのヤドクガエルの中でも少数派のようで、多くの種類では必ずしもそれほど強いものではないという。この毒は、やはり毒をもったアリなどの昆虫を食べることで身につけられるとされる。逆に言うと、そうした餌を食べていなければ、ヤドグガエルの毒性に関しても衰えてくるものと考えられている。
多くの種類が知られる彼らに共通して言えるのが、そのカラフルな色彩だ。赤、黄、青など鮮やかな原色を中心に、複雑な模様が体を彩る。警戒色と考えられているもので、彼らを襲おうという敵に対して自分はやばいぞと訴えているものだ。愛好家の間には、このカラフルなカエルの飼育を楽しむ人も多い。ヨーロッパなどではかねてから盛んで、そのため飼育技術の確立も進んでいる両生類といえるだろう。およそ60種ほどとその種類が多い分だけ、コレクション性も高く、それぞれに趣の異なる多彩な体色は、実際にみていて楽しくもなってくる。
日本のカエルといえばおおよそ水辺に卵を産んで、オタマジャクシは水中ですごし、やがて変態をして陸上生活にうつるという生活史をもっている。一方このヤドクガエルでは、親ガエルが卵やオタマジャクシの世話をするという習性でも知られている。面白いことにこの子供の世話は、オスがする種類と、メスがする種類があるという。このうちオスがするものでは、まず卵がフ化するまで守りながら乾いてしまわないように面倒をみる。そしてオタマジャクシふ化すると、それをを背中にのせて、餌の豊富な木の穴など水の溜まっているところへと運ぶ。こうしていくつかの水溜りへと、オタマジャクシを分散させていくのだ。運ばれた幼体は、そこで昆虫などを食べながら成長する。一方、メスが世話をする種類では、その世話の仕方がさらにふるっている。フ化したオタマジャクシのところへと訪れ、やはり背負って水溜りへと運ぶというのはオスと同様だ。そしてメスでは運んだ水溜りを憶えていて、定期的に訪れては餌となる無精卵を産みつけていくという。自らが産んだ卵を利用して、子供を育てるわけだ。
どのようにしてこうした習性が発達するものなのか?熱帯雨林に暮らす生物には、いろいろな不思議がつまっているものである。 |