人々の努力によって絶滅を免れた鳥がいる。カカポと呼ばれるオウムの仲間である。
オウムといえばペットとしても親しまれている鳥だ。熱帯を中心に分布しており、そのカラフルな色彩がまさにエキゾチックな雰囲気をかもし出している。そうしたオウムの仲間の中でも異彩をはなっているのが、このカカポである。またの名をフクロウオウムともいう。
カカポとは、この地にやってきたマオリの人の言葉で、「カカ」はオウム、「ポ」は夜を意味するものだという。つまり“夜のオウム”というわけだ。名前の通り夜行性のオウムで、その風体も実にユニークだ。
彼らが住んでいるのは南半球のニュージーランド。そしてこのニュージーランドといえば、ここにしかいない鳥としてキーウイの存在がつとに有名である。このほかタカヘもニュージーランドに暮らす、貴重な鳥の仲間だ。彼らに共通しているのは、いずれも鳥なのに空を飛べないという特徴である。ニュージーランドは800万年から1億年以前にゴンドワナ大陸から分離したといわれている。そしてこの島国に人間が渡ってくるまでの間、隔離された環境は独特の生物をはぐくんだ。このカカポもそのひとつといえる。彼らを襲う動物がいなかったニュージーランドに暮らすことで、飛ぶ必要がなくなってしまったのだ。そのために地上で暮らし、鳥の仲間というには体つきもずんぐりとしてしまったわけである。
かつてのニュージーランドには、多くのカカポたちが存在した。そこへまずポリネシアの人々が訪れた。やがてはヨーロッパからの人々がカカポの暮らす地に降り立ち、人々がもち込んだとされる哺乳類によってその数を減らすことになったのである。外敵がいない環境で暮らしていた彼らにとって、侵入者たちの存在は脅威だったのだ。人々による捕獲、開発による生息環境の変化、外敵となる哺乳類の存在によってカカポは急速にその数を減らしていった。そして絶滅寸前にまで追い込まれてしまったのである。もはやフクロオウムたちにとって安住の地ではなくなったニュージーランドだったが、そこにこの愛らしい鳥を保護しようという人々の力が注がれた。外敵となる生物のいないところへと残った彼らを移し、さらに手厚い保護活動が展開されたのである。そしてフクロオウムたちは多くの人たちの支えによって、少現在も少数ながらその種を存続させている。
野生動物を絶滅させるのも保護できるかも、われわれ人間にかかっているいい例といっていいだろう。 |