エビといえば食用にするエビや、ザリガニなどの姿がすぐに思い浮かぶが、サンゴ礁の海には、一風変わったエビが暮らしている。
写真を見て、この生物が何であるかおわかりの方は、かなりの生物通だといっていいだろう。ある意味でそのくらいわかりづらいシルエットをもった生物である。実はこれエビの仲間。サンゴ礁を中心に生息している、フリソデエビという種類のエビである。
その名前からもわかるように、特徴的なハサミ脚をもっている。このエビの名前は、その幅広なハサミ脚を振袖に見立ててつけられたものだ。南日本から中・西部太平洋−インド洋に分布。そしてこのエビの最大の特徴のひとつに挙げられるのが、その食性である。もっぱらヒトデを専食しているのである。アオヒトデやイボヒトデ、コブヒトデなどを食べ、さらにはサンゴ礁の大敵でもあるオニヒトデも食べてるらしい。ペットショップなどでも扱われることが多いが、彼らを飼育するに当たっては、餌となるヒトデの確保が必要になるということになる。ヒトデに居座ったフリソデエビは顎脚を突き刺してヒトデの組織を破壊し、柔らかい部分を自慢の振袖で千切りながら餌にしているようだ。
フリソデエビには白っぽい地色に、モザイク状の不規則な斑が一面に入っている。淡いブルーや赤味がかった模様だ。これが個体によって多少違っていたりもしている。また輸入されてくる地域によっても、差があるようだ。実はこれ、食べているヒトデの色彩に影響されている部分があるようで、アオヒトデを食べると青みが強くなり、赤っぽいヒトデを食べているものでは赤味が強くなるのだそうだ。 |