今回は来年の干支、ウシにちなんで、ウシガエルのお話。
ウシガエルと、なんとも日本らしい名前がついているが、そもそも日本に生息していた種類ではない。北アメリカ原産のカエルが人間によってもち込まれ定着した、いわゆる帰化生物といわれる存在である。
特筆すべきはその大きさである。成体で12センチ以上、オタマジャクシといえども、尾までの長さは10センチ近くある。彼らが日本にもち込まれた理由がこの大きさにある。カエル、実は食用にするためにもち込まれ、それが各地で繁殖しているというわけだ。
ウシガエルは水辺を好むカエルだ。平野部のちょっとした池や沼などに生息し、あまり水から出ることなく暮らしている。口に入るものは何でも捕食するが、主な餌は昆虫やザリガニ、魚類やネズミ。さらには他の種類のカエルなども捕食する。繁殖期は5〜8月頃で、この時期になると、オスたちは大きな声で鳴き合い繁殖相手となるメスを誘う。「ケロケロ、ケロケロ」といったいわゆるカエルの鳴き声とは程遠く、非常に低い音で「ボーン、ボーン」とか「モー、モー」といった感じの鳴き声だ。そしてこの鳴き声、水面を伝って非常に遠くまで届く。カエルとは思えないその音のため、その鳴き声の主に関して話題になることもあるようだ。
余談だが、彼らと一緒にやってきたのがアメリカザリガニで、これも日本各地で繁殖している。もともとはウシガエルの餌として連れてこられたものだが、各地ですっかりと定着していて、ずっと以前から日本にいたかのようなはばのきかせようだ。
こうした帰化生物が定着するのには、その生存に必要な環境が必要なわけだが、彼らに共通していえるのが、生物的にタフであるといえるということではないだろうか。様々な条件を満たしていないと暮らしていけない生物と違い、いかなる環境にも適応して暮らしていく。そして子孫さえ残すことができれば、生物としてそこに定着することができるわけだ。アメリカザリガニもウシガエルも、そうした条件を満たした生物だったわけだ。 |