その名の通り、自然下でアリ(シロアリ)たちを専食しているのがオオアリクイだ。そのため、そのアリがいなくなることがないよう、しっかりとしたルールを身につけている。
それぞれの姿を想像するとちょっと想像しづらいが、アリクイはナマケモノやアルマジロと同じグループとされている。オオアリクイの暮らす広大な草原には、そこここにアリ塚(シロアリの巣)が点在する。シロアリは。ハチやアリなどと同様に女王アリを中心にいくつかの役割をもった集団として、共同生活をする社会的な生物だ。オオアリクイは臭覚を頼りにアリ塚を捜し、発見すると普段は折りたたむようにしている前脚の3本のカギツメで、硬いアリ塚の表面を掘り崩す。これはアリ塚を破壊するといったものではなく、細長い自分の頭が入る程度のものだという。こうしてできた穴に鼻面を突っ込み、口から出る部分だけでも60センチはある長い舌を使って餌をとる。舌にはねばねばとした粘液がついていて、塚が壊れ集まってきたアリなどを、くっつけながらからめ取るように捕食するのだ。またこのアリクイの食事のもうひとつ特徴的な部分は、ひとつのアリ塚を食べつくすというようなことはしないことだ。ある程度食べた段階で別のアリ塚へと移動し、十分な餌が得られるまで、点々とアリ塚を訪ねるようである。つまり、餌場を管理するという習性を身につけているのだ。壊されたアリ塚は、働きアリによって早速復旧の作業が開始され、一夜明けるとすっかり元通りに修復されるという。点在するアリ塚に暮らすシロアリとともに生きてきたオオアリクイは、一定のルールをもって食事を獲ることで、自分たちにとって大切なシロアリたちと共存しているのである。
アリクイは、背中に子供をおぶって育てる習性でも知られている。子供を背中におぶって育てる動物としては、コアラやサルの仲間などがまず思いつく。樹上で暮らす動物にとっては、こうすることで前脚が開放されるといった大きな利点がある。枝から枝への移動がスムーズになるほか、子供が下に落ちにくいというメリットがあるのだ。子供にしては、親の背中で過ごすことで危険から免れられる。子供が親の背中で守られる期間は1年にも及び、親の半分の大きさになるまでおぶられて暮らすという。地上で暮らしているオオアリクイであるが、同じ仲間のコアリクイやヒメアリクイは、その程度こそ違うが樹上で暮らしている。このあたりから考えてみても、もともとオオアリクイも樹上生活をしていたのではないかとも考えられている。
|