コウモリは翼手目に属する哺乳類の一種で、哺乳類として唯一自由に空を飛ぶことができ動物である。
この季節、太陽が地平線に姿を隠しあたりが薄暗くなる頃になると、コウモリが飛んでいるのを目にすることがある。ちょっと蝶を思わせるような独特な飛翔する姿は、彼らならではのものだ。
非常に種類が多いのもこのコウモリの仲間の特徴で、種類の多さではネズミなどのげっ歯類の次に多い。そのなかでも、南米に生息しているチスイコウモリという種類は、動物の血液を餌にして暮らしている。いわゆる吸血コウモリだ。
チスイコウモリは体長10センチほどの小型のコウモリで、昼間は群れをなして洞窟などで休み、夜になると獲物を求めて飛ぶたつ。一般にターゲットとしているのはほとんどが牛やウマなどの大型の動物だが、まれに人間も狙われることがあるという。チスイコウモリは獲物が寝込んだところに静かに忍び寄り、鼻にある温度を感じるセンサーを巧みに使って皮膚近くの血管を探り当てる。その後かみそりのように鋭い歯で皮膚を切り裂き、流れ出る血をペロペロとなめるようにして摂取する。皮膚を切り裂かれるのだから気づいてもよさそうなものだが、傷口が小さいため気がつかないともいわれている。唾液には血液を固まらないようにする酵素が含まれており、そのため、吸血の最中に傷口がふさがってしまうこともない。また不思議な習性も知られているコウモリで、餌をとれなかったコウモリに対し、餌を十分にとったコウモリは、自分がとった血を吐きもどして分け与えるという。
さてこのチスイコウモリだが、狂犬病を媒介することでも知られている。狂犬病に感染したコウモリが人を噛むことで、狂犬病に感染するというものだ。ブラジルではその被害が絶えないようで、しばしばニュースにもなったりもする。人を襲うことは多くはないともいわれている彼らだが、一説によると開発によっていき場を失ったものが、人と生活する空間を共有するようになったためとも考えられているようだ。
なお、チスイコウモリが生息しているのは中南米で、日本には生息していない。日本で主にみられるコウモリはアブラコウモリなどの虫を主食としているコウモリだ。 |