我々に馴染み深いカメといえば、子ガメがゼニガメの名前で売られているクサガメやイシガメといった水辺に住む種類だろう。しかし全世界的にみれば、もっぱら陸上で暮らす種類も少なくはない。
リクガメの仲間は、ペットとしても人気の高い爬虫類である。ただし、いずれの種類もその数の減少から国際的に保護されており、基本的には養殖した個体などを中心に取り引されている。そのために積極的に繁殖がなされている反面、その希少価値から不正に持ち込まれることも多い。
ヒョウモンガメもそうしたリクガメのひとつで、甲羅に入るヒョウのような模様が美しいことから、愛好家たちの間で飼育されることが多い種類である。実際にはゾウガメを除いたリクガメの中では、ケヅメリクガメについで大きくなる種類とされている。もっとも、販売されているものは数10センチサイズの幼体であり、その可愛さから飼育をされるケースが多い。とはいえ実際には、成長することで60センチにも達するリクガメである。
ヒョウモンガメは本来、アフリカ東部から南部のサバンナ地帯に分布している。ヒョウモンガメの主食としては草や果実を食べるベジタリアンだが、生息地域の開発が進むにつれて、彼らの餌となる植物も減少して生存が脅かされている部分があるようだ。その結果として野生の個体は、今日では一部の海岸地方にみられるにすぎないともいう。一見おっとりとしたようにみえるカメの仲間だが、繁殖期のオスは性質も荒くなり、同種間では争うこともある。
現在ペットとして流通するものはアフリカに生息している野生個体ではなく、アメリカで繁殖された個体がほとんどとされている。ペットとして親しまれる生物が、こうして積極的に養殖されることにより、野生の個体群が保護されてその存続が可能になるのは願ってもないことといえるだろう。
一方では今日環境の面で問題視されている温暖化の影響で、餌となる植物が乾季に影響を受けることや、飼育を目的とした捕獲のほかに食用目的の捕獲もあって、数を減らしている。
自然下で生息している、ヒョウモンガメにとっては、深刻な状況になっているようだ。 |