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舞い上がれ、コウノトリ。
舞い上がれ、コウノトリ。
国の特別天然記念物、コウノトリ。かつては日本の各地で見られ、東京でも繁殖していたという普通に見ることができた鳥だったようだ。それが人による狩猟や、環境の変化などによって、著しくその数を減らしてしまった。そして現在、地域を巻き込んだ保護活動が着実に展開されている。国内最後のコウノトリの生息地として知られる、兵庫県の豊岡市の「県立コウノトリの郷公園」がそれだ。住民とコウノトリが共生できる環境を目指し、地域をつくるというものである。そして最近飼育下で成長したコウノトリが、自然の中へと放たれた。そこに居合わせた人たちからは、舞い上がっていくコウノトリが姿に、拍手がわきおこったという。

個体数が減ってしまった生物を復活させるというのは、並大抵のことではない。コウノトリもそうした生物のひとつである。コウノトリはユーラシア、アフリカなどにも分布しているが、東アジアの個体群に関しては、現在独立した種として扱う傾向があるようだ。実は彼ら、江戸時代には日本の各地で普通にみられ、東京でも繁殖していたという。それが明治に入って大型の鳥類の狩猟が流行すると、その数は著しく減少した。

またこの鳥は、餌場となる水辺に近い高い木に、木の枝などを使って巣を作る。餌場はもっぱら水辺で、湖の浅瀬や、湿地、水田などを歩きながら、魚やカエル、昆虫などを探して食べている。そうした中、彼らが巣をつくるのに適した高い木が切り倒され、十分に餌をとることができる場所が減少していった。さらに追い討ちをかけたのが、農薬などによる餌となる生物への汚染である。これによりせっかく誕生したヒナたちも育たなくなってしまったようだ。

現在は国の天然記念物として保護されているコウノトリだが、その試みはこれまでのように単に種を保護するのではなく、それを取り囲む生態系ごと管理していこうという、かなり斬新なものだ。国内最後のコウノトリの生息地として知られる、兵庫県の豊岡市の「県立コウノトリの郷公園」がそれである。住民とコウノトリが共生できる環境を目指し、地域をつくるというものだ。広大な敷地には小川が流れ、棚田の形の湿地や中洲が広がっている。農薬を使わない農業も目指され、実際に実践もされている。

現在までに118羽まで数が増えたコウノトリだが、最近人工飼育した5羽を、実際に自然の中に放す催しが行われた。飼育下で成長してきたオス2羽とメス3羽で、自力で生きていけるように餌とりの練習や、飛ぶ能力を高める訓練を受けてきた鳥たちである。識別用の足輪がそれぞれにつけられ、さらには小型の発信機がとりつけられ、逐一その行動を追跡して調査される。このコウノトリの放鳥の場に居合わせた人からは、大きな翼を動かし舞い上がって行くその姿に、歓声があがったという。コウノトリのいる光景が普通にみれるようになることを、願ってやまないものである。

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