鉄壁の備えともいえる亀甲に守られた体で移動する姿は、大昔の地球を闊歩していた生物をも連想させる。その生き物はセンザンコウ。もちろん恐竜の生き残りというわけではなく、れっきとした哺乳類だ。
動物たちは外敵から身を守るために、それぞれ様々な工夫をしている。ハリネズミやヤマアラシは、体を変化させて体表に鋭い棘を纏い、敵からの攻撃を防ぐ道を選んだ。同様に体を変化させたものに、アルマジロやセンザンコウがいる。こちらは針ではなく、鉄壁な鎧といういでたちである。
アルマジロの仲間がアメリカ大陸に分布しているのに対し、センザンコウの仲間はアフリカやアジアに分布している。彼らのその頑丈な鎧は、もともと毛のかたまりがひとつずつのうろこ状に変化したもので、かなり厚さもあり、その下にある皮膚を保護している。しかもその先端は、ナイフの刃のように鋭いようだ。さらにはこのウロコで体を保護しているだけに止まらず、体をコンパクトに丸めて、防御の態勢を取ることでも知られている。こうした習性は、やはり硬い甲冑を身に着けたアルマジロがもつものとちょうど同じ形だ。
センザンコウの吻部は細長く、ちょうどアリクイのような雰囲気をしている。先端には口があるが歯はなく、そのかわりに長い舌をもっている。四脚の爪は長く頑丈で、これを使って穴を掘り、地中や樹木に巣を作ったシロアリを探し当ててアリ塚を壊し、それを餌にしている。
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