ファンシーツノガエルというカエルがいる。ずんぐりむっくりとしたそのカエルの姿は、かわいい…といえなくもない。
アマゾンツノガエル、クランウェルツノガエルといったツノガエルと呼ばれカエルには、その名前にように、ちょうど眼の上の部分に角のような突起がある。丸くてずんぐりとした体のうち、半分が頭であり、残りの半分が胴体だ。
小銭を入れる財布のことを「がま口」というが、ツノガエルの仲間もがま口よろしく、非常に口が大きい。ツノガエルの仲間はいずれも肉食性のカエルで、林床などにじっと潜んでいて、目の前を通る生物に襲いかかっては捕食する。他のカエルやトカゲ、小型の哺乳類、昆虫など、口に入るものなら何でもパクリ。このじっとしていて動かないという習性から、飼育にもそれほど大きな容器を必要としない。そのため積極的に繁殖もなされ、ペットとしても盛んに流通している仲間たちである。
一般にカエル類の飼育では、その餌の調達がやっかいだったりする。生きている(動いている)昆虫しか食べないからだ。そうした意味では、何でも口にしてくれるツノガエルの仲間は、飼育しやすいカエルということができるだろう。結果的に、ペットとして普及したともいえるかもしれない。ペットとして流通することが多くなった彼らの場合、現地で採集されたいわゆるワイルド個体ではなく、商業的に繁殖された繁殖個体が主に流通されるようになった。CB個体(飼育下繁殖個体)と呼ばれるものがそれである。ペットとして流通しているツノガエル同士での交雑個体も誕生しているようで、徐々に種類の区別がつかないものもでてきているようだ。ファンシーツノガエル、ファンタジーツノガエルと呼ばれるツノガエルたちも、そうしたカエルたちである。いわゆるハイブリット(混血)であるため、その体形や体色などはまちまちで、アマゾンツノガエル、クランウェルツノガエル、ベルツノガエルと、それぞれの特徴を微妙に示したりもするようだ。 |