爬虫類の多くが、成長に適した場所に単に卵を産みつけるだけで、子育てにはほとんど関与することはない。ところが同じ爬虫類の仲間でも、ワニたちは別だ。
カメやヘビ、トカゲなど、多くの爬虫類では繁殖の時、安全だと思える場所、また子供の成長にとって適当だと思える場所を選び、そこに卵を産みつける。またフ化した後の子育てにはほとんど関与せず、子供たちは親の保護を受けることなく、自力で成長していくことになる。
ところが、同じ爬虫類の中でもワニの仲間は別だ。ワニ類では、メスワニが適当だと思う場所に塚状の巣を作り、そこに卵を産んで埋める。ここまでは他の爬虫類とあまり変わらないが、その後はフ化するまでその巣の近くで見守るのだ。やがて子ワニが誕生すると、母ワニは土の中から発する子ワニたちの高い鳴き声を聞き、そこから這い出てくるのを手伝うという。中には、沼地や水辺にまで連れて行く母ワニもいるようだ。さらに種類によっては沼地の周辺に保育園のような子ワニを遊ばせるスペースを作り、数ヵ月の間天敵から守るものもいるようである。爬虫類多しといえども、このような細かな子育てをするのはワニだけだといわれている。
こまやかな子育てをすることで知られるワニたちだが、現在絶滅が懸念されている動物のグループのひとつでもある。原因としては皮革を目的とした乱獲や、環境の変化が影響しているというのはご他聞に漏れずだ。現在では世界的に保護が進められているが、一方では密漁も後を絶たないという。見た目とは違って子煩悩な一面をみせるワニたちにも、安住の地を与えてあげたいものだ。 |