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泡の網で魚を一網打尽
泡の網で魚を一網打尽
ハンプバック・ホエールという英名をもつザトウクジラ。北半球に棲むものは、夏をアラスカやその周辺で過ごし、冬になると暖かいハワイなどで過ごしながら繁殖するといわれている。

 水中に潜る時に体を曲げると、背中のこぶが盛り上がって目立つことに由来しているという。和名では名前の通り「座頭鯨」だが、これも背中の形が琵琶を背負った座頭の姿に似ていることによるためといわれている。人間の腕に当たる胸ビレがとても長いのも特徴で、長いものでは体長の1/3にも達するといわれている。体長が15メートル、体重30トンにも及ぶ、ヒゲクジラの仲間だ。ナガスクジラ科に属し、ヒゲクジラのグループなので口の中にはヒゲをもつ。そして大きく口を開けて遊泳し、オキアミなどの小さな生物から、シシャモ、ニシン、サバといった魚類を海水もろとも口にふくみ、ヒゲでこしてそれらを餌にしている。ヒゲクジラの仲間は単独で行動することが多いとされるが、季節的な回遊をするザトウクジラは、群れを作って移動するとされる。  世界中に広く分布し、温かい海域から北極海まで、ほぼ全域で知られている。よく見られるところとして、ハワイ、メキシコ、カリフォルニアなどが知られ、日本では小笠原、沖縄などでよく目撃されている。見通しの悪い水中に暮らすクジラでは、視角よりも聴覚が発達していて、お互いが発する音などを使って障害物や餌を知ったり、仲間同士でコミュニケーションをしている。また繁殖期には、オスのクジラによって独特のフレーズが奏でられる。メスクジラへの求愛行動と考えられており、生息する地域によってフレーズ違うことがいわれている。さらに繁殖のシーズンが経過するにつれて、そのフレーズも変化することも知られている。  ヒゲクジラ類というと、オキアミ類などの小型の生物を大量に食べていると認識されがちだが、ザトウクジラでは集団で魚の狩りをする行動も観察されている。バブルネット・フィーディングと呼ばれる行動で、文字通り泡で水中にネットを作り、行方を失った魚を一網打尽にするというものである。その一連の行動は次のようになる。ニシンなどの群れを見つけたクジラたちは、その群れが散らないようにひそかに海中へと潜る。そしてその魚群れを取り囲むように、噴気孔から出した泡で水中にカーテンのような網を作り、その中へと魚を閉じ込める。最後に、集団で口を開けながら魚群めざして一気に上昇し、その魚たちを捕らえるのである。一気に海面へと飛び上がるその迫力たるや、相当なものだ。15メートルもの巨体がそれぞれに魚をくわえながら、水面へと躍り上がってくるのである。

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