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絶滅したとされた鳥が生きていた?
絶滅したとされた鳥が生きていた?
ハシジロキツツキは、アメリカ合衆国南東部とキューバに分布しているキツツキの仲間だ。大型のキツツキ類で、ちょうどカラスほどの大きさだとされている。このキツツキの仲間が暮らしていくためには、豊富な自然、特に森林が必要とされる。ハシジロキツツキはそうした環境の減少とともに数を減らし、1996年には絶滅したとされていた。ところが少数ではあるが、生きた彼らが視認され、2000年のレッドリストでは近絶滅種という扱いになった。とはいえ、けっして彼らの未来が明るいとはいえない。もう1度生物の絶滅という現象に関して、改めて考えてみる必要があるのではないだろうか。

ウッドペッカー、ご存知キツツキの仲間の英名である。この鳥類の何よりの特徴は、クチバシで木をたたいて、中に潜んでいる虫たちを捕食する点だ。当然そうした餌となる昆虫が暮らすための豊富な森林が必要になるし、営巣には大木を使うため、それなりの大きさの木の存在が必要になる。つまり簡単にいえば、豊かな自然があってこそ、彼らの営みが成り立つといえるのである。

ハシジロキツツキは、そうしたキツツキの仲間のひとつである。アメリカ合衆国南東部とキューバで暮らしていた大型のキツツキ類で、全長50センチ弱。ちょうどカラスほどの大きさのある鳥の仲間とされる。しかし合衆国では19世紀からその数が減りはじめ、キューバに生息していたものも同様の経緯をたどり、国際自然保護連合の1996年のレッドリストでは、絶滅したとされて扱われた鳥類である。

それが2000年度版の同リストでは、変更された。近絶滅種として、その存在が公表されたのである。これにはもちろん事実関係の確認があった。1998年にキューバで、1999年に合衆国のバージニア州にある保護区で、生きたハシジロキツツキが視認されたためである。ひとたび絶滅したとされる生物が、リスト上でよみがえるということ自体、きわめて異例なことといえるだろう。

とはいっても近絶滅種(ごく近い将来における野外での絶滅の危険性が極めて高いもの)であることには、かわりはない。同じく絶滅危惧種として扱われる生物以上のランクで、絶滅種に近いことになる。生物は繁殖して子孫を残してこそ、その存続が可能になる。これにはある程度の数が必要なのは、周知の事実である。仮にリスト上で絶滅したとして扱われなくても、危険な状態であることにはかわりはないだろう。先にもふれたようにハシジロキツツキの減少には、彼らの生息環境の変化が大きく影響しているのは明らかだといっていい。

われわれ人が存続していく意味でも、今こそ真剣にそうした観点にたって、自然環境を見直してみたいものである。人間の影響で絶滅させてしまった生き物を、人間が作り出すことはできないのである。

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