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西表島のシンボル、イリオモテヤマネコ。
西表島のシンボル、イリオモテヤマネコ。
八重山諸島西表島だけに生息するイリオモテヤマネコ。面積280平方kmというエリアにだけ分布域が限られるネコ類は、世界でもまれといわれている。

 体長50〜60センチメートル、体重4キログラム前後と、一般のイエネコとあまり変わらない大きさだが、胴が長く四肢と尾が短いのがその特徴だ。またイエネコと違って耳の先に丸みがあり、裏側に白い模様をもっている。全身は暗い灰褐色で、体の下の部分でやや淡く、下あごは白い。形態的にも原始的な猫と考えられていて、西表島が大陸から切り離されたときに祖先となった猫がそこに残り、古い形態を残したままこの島で生き残ったものといわれている。大陸産のベンガルヤマネコとは類縁関係があると考えられており、最近DNAの分析がなされた結果、それが明らかになった。  1967年に当時の琉球政府から天然記念物に指定され、1977年には地域を定めずに国の特別天然記念物に指定されている。ヤマネコの名があるが、彼らの生息地は山間ではなく主に低地だといわれている。その生息環境としては山麓の林縁部や沢沿い、湿地などが中心になっているようだ。昼間は岩穴などの物陰で休み、日没後と夜明け前に盛んに活動するらしい。木のぼり、潜水共に上手で、クマネズミや鳥、トカゲ、カエル、昆虫などを捕食する。 一般に水嫌いといわれているイエネコとはちがい、水を嫌うことなく潜水し、魚やエビなどを捕らえることも知られている。  現在、イリオモテヤマネコの個体数は、100頭以下と推定されている。西表島というひとつの島だけに生息し、絶滅が危ぶまれているイリオモテヤマネコだが、今日彼らが生存していく上で、やはりその生息環境の問題がやはり大きな課題になっている。そして毎年発生している交通事故との遭遇も、彼らの保護の上で重要な課題のひとつになっている。事故にあうヤマネコたちを守るために、西表野生動物保護センターなどを中心に、道路沿いにヤマネコ注意の標識が設けられた。さらに道路下には彼らが自由に移動できるように、専用の通路が設けられた。通路内には無人のカメラがセットされ、ヤマネコたちの通過が観察されたが、その利用の回数は増えているようである。  こうしたひとつひとつの積み重ねが、現状として彼らを保護するうえで重要であり、大切なイリオモテヤマネコの今後をめぐって期待がもたれている。

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