狂犬病は、狂犬病ウィルスを病原体とする人畜共通の感染症(人にも動物にも感染する病気)で、人が発症すると100%死に至ります。
日本では1956年を最後に発症は報告されていませんでした。日本にいると、既に撲滅されたように思われる狂犬病ですが、実は、世界ではまだまだ狂犬病は一般的な病気なのです。北米、南米、欧州、中国、アフリカといった、とても広い地域で狂犬病の感染が報告されています。2006年には2人の日本人男性が、フィリピンに滞在している時に犬に噛まれ、日本に帰国した後に発症してしまい、死亡した例が報告されました。狂犬病を撲滅したとされる国は、日本、台湾、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、ハワイ、グァムなど、ほんの一握りの国で、島国に多いようです。(2005年厚生労働省調べ)
日本で狂犬病が撲滅された原因として、島国である事の他に、1950年に「狂犬病予防法」が施行され、飼い犬は登録して狂犬病ワクチンを接種する事が法律で義務化されて、徹底的な対応をしたからだと言えるでしょう。
狂犬病というと、犬(と人間)だけが感染するように思われがちですが、実は我々の身近な、他の動物たちにも感染するのです。例を挙げますと、猫、きつね、ハムスター、アライグマ、スカンク、大きい動物では、牛や馬、羊、山羊、豚、そして、アヒルや鶏にも感染するのです。さて、最近の日本の状況ですが、実は「狂犬病は地球上から撲滅された」という誤った認識からか、狂犬病のワクチン接種率は、減少しているようです。※市区町村に登録された犬の狂犬病ワクチン接種率・・・39%
このような状況で、海外から狂犬病に感染した動物が輸入され、そのウィルスがほかの動物に感染したら・・・。低い摂取率から考えて、一気に狂犬病が広まる危険性が日本にはあるのです。日本では報告がないとはいえ、決して過去の病気ではありません。そのことをしっかりと覚えておいてくださいね。 |