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トナカイの鼻は赤い?
トナカイの鼻は赤い?
この季節、街にはクリスマスのイルミネーションが輝いています。なかでも一番目を引くのは、真っ赤に輝くトナカイの鼻ではないでしょうか。

 トナカイは北半球の寒帯から北極圏にかけて生息する、シカの仲間です。野生化では7頭前後の群を作って生活し、北欧やシベリアでは古くから家畜として飼われていました。そのためか、漢字では“人に馴れる鹿”で「馴鹿」と書きます。  鹿の仲間の鼻は、犬や猫と同じように毛で覆われていません。ところが極寒の地に暮らすトナカイは、他の鹿たちと異なり、鼻先まで毛皮で覆われています。この毛皮のおかげで鼻先が凍傷になるのを防ぎ、また、鼻が温かいために、肺に入る前の極寒の空気を鼻腔で温めることができるのです。  そんなトナカイの鼻は、毛皮で覆われているため暗褐色や灰白色をしています。ではなぜ、もともと赤くないトナカイの鼻は、“赤い”と言われるようになったのでしょう。  赤い鼻のトナカイが生まれたのは、時代をさかのぼること1930年代のアメリカ。とある大手デパート会社が、クリスマスのプロモーション用に、毎年塗り絵を配っていました。ところが当時は世界的な不況のまっただなかで、大量の塗り絵を購入するよりも、なんとか自分たちでプロモーション用の小冊子を作れないかと考えていました。そこで選ばれたのが、コピーライターのロバート・L・メイです。  彼は自分が幼いころ、体が弱く小柄だった事を理由に、周囲から馬鹿にされていた経験がありました。そしてその経験から、ひとつの物語を考え付きます。周りと少し違うという理由だけで周囲から馬鹿にされていたトナカイのルドルフが、逆にその違う部分を活かして、クリスマスの夜に大活躍する……というステキなお話でした。「ルドルフ 赤鼻のトナカイ(原題:Rudolf the Red-Nosed Reindeer)」と名づけられたその物語は、240万部も発行する人気作となりました。そして1940年代に入ると、そのお話をもとに、皆さんもよくご存知の歌が作られたのです。日本語では「真っ赤なお鼻の…」ではじまるこの歌は、クリスマスの人気定番ソングとなり、世代を問わず愛されるようになりました。  日本では物語そのものよりも、歌のほうが広く知られているため、人々の中に「トナカイ=赤い鼻」というイメージが定着してしまったようです。    もしも動物園などで実際にトナカイを見たときに、「鼻は赤くないんだ」とがっかりしないでくださいね。赤い鼻を持った特別なトナカイは、サンタクロースの乗ったソリをひく9頭のトナカイのうち、一番先頭にいるルドルフだけなのですから。

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