わが国最大の水生昆虫タガメ。大きなものでは体長6cmを越えるほどであり、その強力な前足で自分より大きなトノサマガエルですら捕らえ、体液を吸うという。
このタガメ、繁殖期は水上に突き出た杭などに70個程度の卵を産みつけ、オスがその場にとどまり子供たちが孵化するまで保護するという習性を持つ。そう考えると、水中のギャング的な存在である彼らも、意外と子煩悩なのかもしれない。しかし、オスはともかくメスはそんなに甘くは無い。
産卵のシーズンになるとあちらこちらでタガメのペアができて産卵が始まる。でも中には上手く相手を見つけることができずに産卵できないメスが出てきてしまう。彼女らはこのような場合どうするのか。
我々人間と違って、ふてくされたりあきらめたりはしないのがタガメのメスの凄いところ。彼女らは、卵を一生懸命守っているオスのところに近づいていき、オスの守っている卵に襲い掛かり、めちゃくちゃに破壊してしまう。オスはおろおろするばかりで打つ手なし。しばらくすると、せっかくの卵は無残な姿になってしまう。そこでおもむろにメスは茫然自失?となっているオスに求愛するのである。オスはやむを得ずかどうかは定かではないが、目の前にいるメスと新たに産卵行動を始めるのだ。
げに恐ろしきはメスの執念か? |